褐色の恋人

カルロス、という男がいた。




褐色の肌に真っ白な歯。
大きくてまんまるの瞳。
エキゾチックそのもの。

歌が上手で陽気な、
とてもやさしい人だった。







その男とは、地元の駅前で出会った。
私が24歳で、
あの人は32歳くらいだったと思う。
(年齢は聞いたけど、もう忘れた)
日本に来たばかりだかで、
カタコトの日本語で
「役所に行きたい」と言った。





私は道などを訊ねやすい顔というか、
雰囲気をもっているらしい。
街を歩いていたり、
駅で電車を待つ時など、
かなりの確率で話しかけられたり、
行きたい場所や、電車の行き先、
乗り方などを訊かれる。


そんなときは、
できるだけ笑顔で、
ハッキリと、
わかりやすくお答えする。
(しているつもり…)
伝わったか自信のないときは
メモなどに地図を描いて渡したりも。




とはいえ、いつもは伝えたあと、
「それでは〜」
とフェードアウトするが、
今回は、彼に付き添い
役所まで一緒に行くことにした。
急いでいなかったし、
単に顔面が好みだったので(笑)





新手のナンパとか言わないの!(笑)
道案内ですよ?
ポケモンでいうところの
ジムまでサトシを連れていくやつよ?





そんなわけで、役所までの道中、
どこから来たの?とか、
どこに住んでるの?とか、
いろいろ話した。
all日本語!
一切、外国語は出なかった。





カタコトにしては、
私の言うことを理解している感じ。
つまりは、いまの私が
英語でコミュニケーションを
とろうとするときと同じだ。
相手の言葉からキーワードをぬきとり、
その意味を考えて、
なんとなく
こう言っているのかな?と
示し合わせていくような。
肝心の、自分が言いたいフレーズは
探してもストックがないという(笑)




ペルーからやって来て、
証券取引のお仕事をしているんだって。
え、あら?
知能指数お高いんじゃ?
と、おバカなりにうすうす感じたり、
そうでもないと思ったり、






ラジバンダリ!





なつかし(笑)
言いたいから言う時間!
ハピネス♡




その日は携帯の番号を交換して、
役所の前でバイバイした。



カルロスとは、時々会って、
ご飯を食べたり、
カラオケに行って遊んだ。
BLUE(イギリスのアーティスト)の
「ONE LOVE」という曲を
歌ってくれたんだけど、
信じがたいほどに甘く柔らかな声で
ビブラートも最高だった。
ボイストレーニングしてもらえば
よかったorz




いつだったか、夜中、
カルロスから電話がかかってきて、
「いま川越で終電なくなっちゃって
帰れない、どうしよう?」とSOS!
これは!と腕をまくり、
ワゴンRで国道16号をひた走り、
彼を迎えに行ったこともあった。
あたしゃ、
カルロスのボーイフレンドか!(笑)



そっか。
友だちって、そうだよね。





相手に遠慮ばっかりしていては、
自分のピンチに助けを求められない。
そこまで友だちでもないってこと?
そうでもないな。
それは、人それぞれ(笑)



私も、夜中にピンチになったとき、
電話する相手がほしいッス。



少なくとも、カルロスが私を
友だちだと思ってくれててよかったわ。



そんなある日、カルロスに告白された。
私としては、こんなぽっちゃり昭和顔が
褐色のイケメンに相手されるわけがない、
と思ってた。
彼にとって私は
日本でできた友だちで、
私にとってカルロスは
外国人の友だちの一人。
おかしな日本語を教える
イタズラ相手だったので、
(よい子はマネしてはいけませぬ。笑)
ホントに驚いた。
そんなこともあるんだなーって思った。




私のこと、ぜんぶ好きだ、
って言ってくれた。
私の心の闇も、体に残る傷痕も、
受け止めてくれる、
何て大きな愛なのだろう。





しかし、私には、
カルロスを受け止める大きな愛も
覚悟もなかった。
「外国人に自分のコンプレックスを
ストレートに指摘された」とかいって
傷付いたフリして、
気持ちを受け取ることができなかった。
そこまで好きでない状態で付き合うなんて、
考えられなかった。
(いま思うと好きだったんだろうね。
とりあえず、その時の自分に
跳び蹴りしたい)






臆病だから、
いつも、進む道を間違える。
勇気を出して
未開の地に踏み込むことが恐いのだ。

今度は失敗しないかもしれなくても
ためらう。
尻込む。
愛されるという状況を強く拒絶する。




つい最近まで、そうして生きてた。



でも、生きていくことが恐いのは、
みんな一緒なんだね。




カルロスと付き合っていたら、
結婚して、日本とペルーのハーフの
可愛らしい子を産んだりしたのかもしれない。





自分を大切にしている人だから、
私のことを大切にしようとしてくれたんだろうな。
応えられなかったけど、
もしかしたら、救われたかな?






うーん、わからない。







さりとて、私はいま、ここにいる。






もしも、なんてない。






やっと、自分の過去も、いまも、
あやまち的なものも、
やらずに勝手に悔やんだことも、
(カルロスのことも含み)
しょうがなかったんだ、って
赦せそうな気がしている。






自分のことは自力で救うべきかな?





多分、そうだろうけど。




少なくとも、彼の存在で、
自分を救うためのヒントくらいは
見つけられればなー。







あ、見つけたかも。






だから、私もいつか、誰かに、
カルロスのような大きな愛でもって、
自分と相手のぜんぶを
(ぜんぶでなくてもいいか)
受け入れられたらいいな、と思う。






もちろん、ムリしなくてOK!





まずは誰かを好きになりたい。
始まるのは、それからでいい。





愛に完璧なんてない。






愛も、何もかもも、完全なだけだ。






もう、私は愛すだけ。
愛されるだけ。
幸せを落っことしても、
きっとまた、拾える。




ちなみに、カルロスに教えた
おかしな日本語は、
「だっふんだぁ!」とか
火曜サスペンスのジングル
(ダダダダッ!ダダダッ!
ダーダー!ってやつ)とか
「夏だ!さまぁ〜ず!」とか
ここには書けないことなど(笑)

愛のだいじょうぶし

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